6月12日水曜日14時より、渋谷ラグナヴェールアトリエにて第28回創新ネットシテイ大定例会が開催されました。
大定例会の参加者数は丁度80名満席となりました。
今回の基調講演はあのラグビー日本代表、株式会社コーデイネーション・アカデミー代表取締役 齊藤祐也様です。
【経歴】
東京高校からラグビーをはじめ、明治大学では1年生からレギュラー獲得。
その後サントリーに入社後2003年にワールドカップ選出され日本代表キャップ14回。
この実績を引っ提げて、フランスのプロリーグコロミエに移籍し日本人初のプロ契約を結ぶ。
日本に帰国後、神戸製鋼・豊田自動織機でプレーし、35歳で現役を引退。
現在は、株式会社コーデイネーション・アカデミーを設立し、子供向けのスポーツ教室の傍ら、ラグビーの指導者や解説者を行いながら今でもラグビーに精通されております。
14時30分より本日の講演を齊藤祐也様より、講演テーマ
「ラグビー5大憲章から学ぶ組織論~チームは何を望むのか?」の講演が始まりました。
ラグビー5大憲章とは・・・
1.品位 2.情熱 3.結束 4.規律 5.尊重の五つのコアバリューを指しております。
1.品位(Integrity)
2015年ワールドカップまで日本は、1987年1回大会から2011年5回大会までたった1勝しかできておらず、今までと同じやり方では勝てる見込みがないと、チームリーダー陣が集まり徹底的に議論したとのことです。
そこで出た答えが「誰にでも愛されるチームになる」ことに決まり、そのためには、
一人一人が「かっこよくなること」が大切である。つまり「品位ある行動をとること」
が不可欠との結論に至ったとのことでした。
そこから4年、かっこよくなろうと努力をし、2015年第6回ワールドカップで強豪南アフリカを撃破し、大金星を挙げたそうです。
品位ある行動=自分がカッコいいと思える行動→日々の行動を少し変えることで品位が身についてくる。
要するに、会社においても自分がカッコいい人間(品位のある人間)になることによって、そのリーダーについて行こうという部下やサプライヤーやお客様が増え良いチームや関係性が築けるとのことでした。+
2.情熱(Passion)
ワールドカップ2016年ではベスト16、2019年にはベスト8に進出と、このラグビー憲章を意識した行動をとることで、日本ラグビーは飛躍的に強くなってきた。
しかしキャプテン、リーチ・マイケルが、会見で「家族や選手友達など沢山犠牲を払ってきました」とのコメントがありました。
これは、単なる自己犠牲ではなく、家族・選手・友達・日本人みんなが共通の目標に向かって情熱(創新塾では狂熱)をもって取り組んだことで、極度の集中状態を実現できたことにあると思われ、結果としてさまざまなことが犠牲になってしまったとのことでした。
齊藤さんが大学時代ラグビーの優先順位は何番目かの問いに、4番目と答えたところ、コーチから
「いきなり1番にするのは難しいけど、一段階だけあげてみろ」と言われ予想外に手の届きそうな目標を与えられたそうです。齊藤さんは一段階友達との遊ぶ時間を削ることで、練習への集中度が増し上達することができたとのことです。
会社においても、優先順位を少し上げるだけで情熱のギアが上がり、成果も上がってくるとのことです。
適切なバランスを保ちつつ、成果を上げるためには、
まず、自分が目指したいと思える現実的な(頑張れば手の届く)レベルの目標を定めることで、その目標に向かって集中して仕事に取り組む(情熱を傾ける)ための時間(ルール)を設けることが大切とのことです。
3.結束(Solidarity)
2019年のラグビー日本代表の31名中15名が海外出身者であることで、育った文化も違い言葉違うことに対して、どのようにして結束力(チームワーク)を作っていったかを、当時キャプテン、リーチ・マイケルが「国歌の意味まで知ることが日本代表である」とのことで、宮崎県まで行き、さざれ石をメンバー全員で見学した後リーチ・キャプテンが、君が代の歌詞の意味を全員にプレゼンしたとのことでした。
このことで、お互いの価値観を共有しお互いの強み・弱みを共有し強みを活かし弱みを補っていく結束の取れたチームになっていったとのことです。
会社においても、チームにおける多様性(個性の違い)はポジテイブに受け止めることが大切である。
多様性(個性の違い)を活かし、結束してチームを作るには・・・
1) 全員が共有できる共通の価値観を固める。
2) メンバー1人1人の強み・弱みを理解し確認すること。
3) その上で自分以外のメンバーの強みを活かし、弱みを補う行動を積極的に行うこと。
このような行動をチームの人員を見ながら、行動に移していくことで、頑強でバランスの取れたチームになっていくとのことでした。
4.規律(Discipline)
ラグビーの強豪国であるニュージーランドや南アフリカは、体力のあるサモアやフィジー・トンガといった南太平洋諸国の規律のないラグビー(危険なラグビー)に対して、規律を徹底し教育を行った。 競技のルールは大前提でそれぞれのチームのルールを定め、それを守る指導を続けてきたとのこと。
会社においても、業績は重要。しかし、短期的な業績だけで一喜一憂するべきではない。
企業は永続すべき存在。(創新では企業は存続)長期で成長するためには、リーダーが組織のルールを定めプロセスを重視した指導を行うことで、チームに規律をもたらすことが必要である。
- メンバーがミスをしたことを怒る・叱るのは逆効果。
- どうしたらミスをしないようにできるかの方法論を議論する。
- 最終的にメンバーが自分のルールを持ち自走できるまで伴走してあげること。
齊藤社長のスポーツ教室の教え
- 強制的な指導をしない
- 言動を否定、批判しない→子供の意見を尊重
- 怒らず、叱らず、説明を尽くす
- 選択肢を1つに絞らない(競技の選択肢・プレーの選択肢)
- 指導者⇔生徒、コーチ⇔選手の関係性を理解
- 個性を伸ばす(強みを発揮)
- スポーツを「楽しむ」本質の理解
この教えは、我々経営者には、大変必要な教えだと感じました。
5.尊重(Respect)
なぜ外国人のリーチ・マイケルが日本代表の主将になれたのか?
1)メンバーの話を否定・批判せずによく聴く。
リーチの言葉で「一番力を入れているのは小さな声を聴くこと」社会に出ると声の大きい人や話の上手な人の意見を重視し、この小さな声の意見を聞き逃すことが多いので、私自身反省しております。
2)相手を敬い、理解しようという態度と姿勢。このことから、相手を心から尊重しようとする行動=真の優しさ
『真の優しさを持つリーダーだからこそ、チーム内の信頼関係を築ける。』
職場でも、上司・同僚・部下に対して優しさを持つ。具体的には、相手の話を否定・批判せずに聴くこと。この優しさから組織内の信頼関係が生まれ、問題があっても批判は出ない。
また、議論を通じて前向きな解決策が見つかりやすい。
チームワークの良い組織とは・・・・
1)目上の人ほど、部下の人を尊重(優しくする)
2)能力が高い人ほど、そうでない人を尊重(優しく教える)
■15時30分講演終了後、参加者全員で記念撮影。
その後懇親会では、齊藤様のサイン入りのTシャツやラグビーボールなど12名の参加者へ抽選プレゼントさせていただきました。最後のジャンケン大会では、なんと我が市長の原田さんが勝ち抜いた為、準優勝へ回すという珍事がありましたが、楽しく終わることができました。
齊藤様には最後までお付き合いして頂き、有難うございました。
【齊藤様とじゃんけん大会】
【懇親会の様子】
以上ラグビー5大憲章の中身をできるだけ皆様にお届けしたいと思い(齊藤様の思いも含む)、長くなりましたが再度自社に持ち帰り、皆様のお役になればと存じます。
創新塾生ならば今回のこの講演の内容は腑に落ちたと思います。このラグビー憲章が今後企業から社会に広まり、品位ある日本企業の発展を心からお祈りしております。
最後になりましたが、今回ご列席の皆様またご参加出来なかった皆様、今後も創新ネットシテイはまた新しい講演会や勉強会など繰り広げてまいりますので、是非ご参加賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
文責 創新塾63期・91期生
株式会社SND 代表取締役 小野幹夫